未経験からエンジニアへ転身☆レポート
未経験ながらエンジニアへの転職を成功させた3人の体験談を紹介。エンジニア経験ゼロのハンデがありながら、どのように人事にアピールし、採用を勝ち取ったのかを紐解く。会社の選び方や入社後のスキルアップ制度など、未経験転職を目指す人は必見!
ITの専門家になるために研修が充実している会社を選択した坂田旭さん(28歳)
「手に職」にあこがれ、プログラマに転身した鈴木孝史さん(32歳)
転身レポート03
コンピュータが大好きだから。住宅営業からソフト開発者への転職は、それが最大の理由です
株式会社ヒューマン・システム・アソシエイツ 桑原 崇司さん(26歳)
自らの隠れた適性を発見 われながら驚いた
 転職を考えたとき、どんな仕事に最も適しているのか、どんなことを楽しいと感じるのかは、実際なかなか分かりにくいものだ。ところが、意外なことから気付く場合もある。今回紹介する桑原さんも、意外な発見が転職のきっかけになったという。

 桑原さんは、大学の建築学科を卒業し、中堅どころの住宅メーカーで営業職をしていた。一戸建て住宅で暮らす生活者の生の声を聞きながらコミュニケーション能力を向上させたいとの考えから選んだ就職先だった。営業成績は着実に伸びていた。特に2年目は、1棟の成約に平均2カ月を切るペースで進んでいたのだ。

 ところが、あることに気が付いた。購入希望者に渡す個別のプレゼンテーション資料の作成に絡んでのことだった。

「ほかの人はしていなかったのですが、私は、お客さんが分かりやすいようにイラストレーターやフォトショップなどの画像処理ソフトを使って資料を作っていたんです。それが楽しくて仕方なかった。会社でも自宅でも時間を忘れて没頭してしまう。こんなにもコンピュータ好きだったのかと驚いたほどでした」

 大学時代からパソコンを使ってきたが、情報処理の勉強をしたことは全くないという。営業活動をスムーズに導くための付随業務が、隠れた適性を発見させたわけである。

 だが、すぐに転職すると決めたのではない。

「住宅建築の世界で一生やっていこうとそれまでは思っていたので、冷静に考える必要がありました。もし後ろ髪を引かれるようであれば、転職は思いとどまった方がいい」

 結論は、転職の意識が芽生えてから1カ月ほどで出たという。

「2年間とはいえ、一戸建て住宅の営業はやり切った。それよりも適性があり、楽しく思えるコンピュータ関連の仕事に就けるのなら、ここで辞めても未練はない。そんなふうに気持ちの確認ができたんです」
未経験者ゆえに正攻法でアピール
 転職活動に臨んで、桑原さんが最初に行ったのは職種の検討だった。IT業界の求人情報をもとに調べ始めた。未経験者でも採用される職種と仕事内容が問題だった。

「IT業界については、とにかく何も知りませんでした。情報処理のエンジニアを漠然とイメージしていただけ。それで求人内容を見ていったら、プログラマからSEになっていくパターンが一般的らしいと分かった。現に求人数も多い。それで、SEを目指せる会社に応募することに決めました」

 そうして選んだ応募先の一社がヒューマン・システム・アソシエイツだった。同社は、元SEの現社長が創業した独立系のソフト受託開発会社で、証券や生・損保といった金融業のシステムを数多く手掛けている。小規模ながら、未経験者の育成にも積極的だ。

 面接で桑原さんは、IT業界と情報処理技術についてはまるで無知だが、適性と真剣さは持っている、それを買ってほしいと訴えたという。

「パソコン操作に没頭してしまうということは、それだけソフト開発に適している証拠と話しました。真剣さという意味では2つの点をアピールしました。ひとつは、今回の転職が一生をかけた前向きの転身であると考えていること。もうひとつは、目の前の仕事をやり切ることだけ考えて集中するタイプであること。人生観や仕事観まで力説したのは、私という人物を気に入って採用してもらいたかったからです」

 住宅メーカーの営業職からソフト技術者への移行。そこに接点は皆無だ。素養と意欲を売り込むほかない。だが、それこそが正攻法であり、恐らく最も効果的な方法といえるだろう。桑原さんは面接1回で同社に採用された。
ぴったりの仕事だから疲れも感じない
 入社後、配属されたのは証券会社のバッチ処理システムを開発する部署だった。客先常駐型だ。ヒューマン・システム・アソシエイツから5人の社員が行き、その下に協力会社のプログラマが多数配置されている。

「雑用をこなしながら、先輩の指導でプログラミングの勉強を始めたのですが、最初の戸惑いは大きかったですね。コボル(汎用機用の開発言語)とアルゴリズム(プログラミングの前段階で考える問題解決の手順)とは何か、参考書を見ても訳が分からず、冷や汗をかきました。コボルが体系的に理解できたのは、少し後に社外の技術研修を受けてからです」

 しかし、そんな苦労も、桑原さんには苦労と感じられなかったようだ。一日に10時間以上もディスプレーをにらんでいながら、疲れを感じないのだという。

「ただの夢で終わっていたかもしれない仕事をしているんです。疲れるはずがありません。この仕事ではスキルアップが目に見えるから、なおさらファイトがわきます。リーダーからは『そろそろJavaの勉強を始めるか?』といわれているんです」

 それでも、桑原さんはまだ転職に成功したとは思っていないという。SEとして独り立ちできたときが転職成功なのだからと、最後に付け加えた。
桑原さんの転職活動
2004年11月 ITへの適性を自覚
住宅営業のプレゼンテーション資料をパソコンで作成するのが心から楽しいと感じることに、あらためて気付く。住宅業界よりもIT業界の方が向いているようだと思い始めた。
2004年12月 転職しようと決める
気持ちを整理する。建築への未練はなかった。転職の意思を固める。
2005年1月 IT業界の職種を検討
求人情報誌を読んで、コンピュータにかかわれる仕事を広く検討。IT業界の知識は皆無に近かったが、SEを目指すのが妥当と判断した。
2005年2月 今の会社に応募、内定
仕事が忙しく、活動が難航する。そんな中で今の会社の求人を発見。応募する。すぐに内定。上司から強く慰留されたが、3月下旬に退職。今の会社へは4月1日付で入社した。
ヒューマン・システム・アソシエイツは金融系のシステム開発、運用保守に強い。案件は汎用機からWeb系まで全方位だ。
桑原さんは証券会社に常駐して開発を担っている。本社に行くのは月1〜2回。会議の合間に同僚と雑談するのが楽しいという。
経験「ゼロ」ココをアピール
パソコン操作へ没頭することをソフト開発の適性として強調
パソコンを操作していると、つい時間を忘れて没頭してしまうということを話しました。ソフト開発の適性がある証拠として挙げたのです。それを自覚したことが転職の動機であり、従って「逃げの転職ではない」とも説明しました。
一度手掛けた仕事は成し遂げる人物であることをアピール
住宅営業はたやすい仕事ではありません。しかし、私は2年間、やり切りました。顧客のために地道に活動するタイプであることを伝え、そんな私を認め採用してほしいとアピールしました。
転職活動Q&A
Q: 在職中の転職活動で最も苦労したことは何ですか?
A: やはり時間の確保です。顧客の都合に合わせねばならない営業をしていましたから。
Q: 今回の転職で応募した社数、内定した社数は?
A: ソフト開発会社5社に応募し、2社から内定をもらいました。職種はプログラマとSEです。
Q: 今の会社の面接回数は?
A: 1回です。約1時間でした。社長と総務部長に会いました。
Q: 給料は上がりましたか?
A: 年収ベースで比べると、ほぼ同じです。
Q: 転職を考えている人にアドバイスをするとしたら?
A: 今の仕事が嫌だとか、逆に後ろ髪を引かれるというケースでは転職しない方がいいと思います。転職してもうまくいかないでしょう。
採用した理由
福田 朗氏
代表取締役社長
福田 朗氏
ソフト開発を始めたいという本気さが目の力に表れていた
当社では出身業界の多様性を求めています。ソフト開発未経験でも構いません。肝心なのは、やる気や前向きな姿勢です。その点で、桑原さんには目に力を感じました。ITの仕事を始めたいという本気さがにじみ出ていたし、人生というものに真剣に向き合っているようで好感が持てたのです。その一方で、前職のことを語る口調を聞くと、物の見方がとても謙虚。客先で気に入られるだろうと思いました。実際、入社後に配属した証券会社の仕事では、上々の評価を得ています。
会社データ
株式会社ヒューマン・システム・アソシエイツ
設 立 1999年
資本金 1250万円
売上高 3億9800万円(2005年12月期 ※9カ月変則決算)
従業員数 33名
本 社 東京都中央区
事業内容 ソフトウエアの受託開発
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未経験からでもエンジニアに採用される可能性は十分にある!
「教えてもらう姿勢や意欲」や「仕事を進めていく上での協調性」が大切
全くの未経験からエンジニアに採用される人には3パターンあります。
エンジニアの知識も経験も全くない人
エンジニア経験はないが、学校や独学である程度知識を持っている人
「プログラマからシステムエンジニアへ」など、隣のフィールドへの転職を考えている人
ですから、求人広告に「未経験者歓迎」とあっても、どの程度の“未経験”を指しているのかを確かめることが大切です。例えば企業側の募集条件に、「ワード・エクセルが使える人」、「工業系・理工系の勉強をしてきた人」とあれば、同じ未経験者でも、ある程度のハードルが課せられます。エンジニアの知識や経験が全くゼロの人でも、採用されやすいのが「コミュニケーション能力」のある人です。技術職とはいえ、仕事自体はチームやプロジェクト単位で働き、顧客のニーズにかなった製品やソフト、システム構築が求められるためです。また、研修制度や先輩社員からの技術指導により、知識や技術を高めていくので、「教えてもらう姿勢や意欲」や「仕事を進めていく上での協調性」は欠かせません。特に面接では、前職では周囲とどうコミュニケーションを図って仕事をしてきたのかをアピールするとよいでしょう。
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