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連日、「世界同時不況」や「100年に一度の経済危機」という報道に触れると、不安がどんどん増すばかり。そこで、経済、株、転職の専門家に2009年の景気や市場を予測してもらった。転職を成功させるにはどうしたらいいか、不況時ならではのサバイバル作戦を紹介する。
2009年2月11日
日本経済の見通しは? アメリカの金融危機に端を発する世界同時不況の影響で、残念ながら2009年の日本経済は引き続き低迷すると考えられます。外需が経済成長の主な牽引役である日本では、海外需要が落ち込むと、大きな影響を受けてしまいます。当面は輸出の減少が見込まれるため、企業収益の悪化が続き、設備投資も減少していくと予想されます。また、企業収益の減少に伴い、雇用や所得環境が悪化することで、個人消費も低迷するでしょう。このため2009年度の実質国内総生産(実質GDP)の伸び率は、引き続き大幅なマイナスになると思われます。内外需とも低迷が見込まれるため、企業業績も減益が続く見通しです。 さらに業種ごとに見れば… 多くの製造業では、原油価格の下落で製造コストは一時期より軽くなったものの、海外需要の落ち込みと円高などの悪影響がこれを上回り、収益悪化が続くと予想されます。自動車や電子部品など、いわゆる川下業種は厳しい状況が続き、化学や鉄鋼など素材を扱う川上の製造業も然り。また非製造業でも、所得環境の悪化に伴い、個人消費の低迷が続くと予想されるので、小売りなども厳しい状態が続くと見られます。食品や電力やガスなどの公益セクターは景気悪化の影響を比較的受けにくい業種ですが、日本経済全体を盛り上げるほどの力はないでしょう。 雇用情勢を予測すると… 減収減益が鮮明になると、企業も固定費の削減などに動かざるを得ない状況になります。すでに非正規雇用労働者の削減や新卒採用の抑制が行われていますが、正社員にもしだいに悪影響が波及していくと予想されます。残業抑制やボーナスの減額などを通じて、賃金が低迷する可能性が高くなります。すでに足元の有効求人倍率は低下傾向、失業率も上昇傾向をたどっていますが、今後も雇用環境の悪化は続くと考えられます。 景気が回復するのは、いつ? 日本経済の先行きは、輸出の持ち直し、つまりアメリカなど海外経済の回復にかかっています。アメリカでは、オバマ新政権の下、諸々の経済政策が打ち出されていますが、効果がはっきりと出るには少し時間がかかると思われます。アメリカなど海外経済の悪化に歯止めがかかって、ようやく日本もマイナス成長を脱出していくとみています。このため現時点では、日本経済の回復は2010年度以降、景気全体から遅行する雇用環境の回復は2010年度半ばごろからと予想しています。
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今の株式市場をどう見る? アメリカの金融危機は日本の株式市場も巻き込み、異常事態が続いています。「これからとんでもないことが起こる」と青ざめている人も多いようです。でも、株価や景気などは、もともと上がったり下がったりするもの。私のような長期投資家からみれば、「100年に一度の危機」は、「100年に一度のチャンス」。5年、10年後もずっと応援したい価値があると思う日本企業の株が、ウソのような安価で市場に出回っているのですから、まさに買いどき以外の何物でもありません。 成長する企業とは? この時期、企業の経営者には3つのタイプがあります。一番多いのが「わが社の業績が悪くなったのは不況のせいだ」と嘆くばかりで何の手も打たない人。次は、特殊な技術を持つ製造業に多いのですが、景気に惑わされず、やるべきことを黙々とする経営者。3つ目は、業績はそこまで悪くないのに、この非常時を転換期だととらえて不採算部門の売却や廃止、従業員のリストラなど、経営の荒療治を断行するタイプ。当然ながら長期投資家は、後者2つの経営を行う企業に注目します。 企業選びの極意は? 株投資の初心者は、よく企業のIR(投資家向けの広報)を参考にしますが、あれがすべてではありません。自社に不都合な部分はいくらでも伏せることができます。テレビや新聞も二次的な情報でしかない。それでは、何を頼りに投資判断するのかといえば、「もし私がこの会社の社長だったらどんな経営をするか」を念頭に考えるのです。業績は伸びているか、技術開発は他社より優れているか、従業員数は適切かと考えていくと、投資して応援したい企業かどうかが見えてきます。実はこの視点は、転職する際の会社選びにも応用できます。「長期的展望はどうか」とか「企業理念は守られているか」という具合に企業研究していくと、中に入って働きたい会社かどうかがわかるでしょう。 株式市場はいつ回復する? 今年です。ただし、すべての株が上がるわけではなく、淘汰される企業も相当数出るはず。株価というものは、テロや地震などで落ちるときは一斉ですが、回復するのはバラバラ。昨秋の株価暴落時には、日本の実体経済を支えているような価値の高い企業や、世界に誇る高い技術を持つ製造業もつられて下がりました。今年はこういった強い企業から浮上していくでしょう。そして、これがモデルケースとなって、「よし、あそこが伸びるなら、うちだって」と同業他社の中から頑張って追随する企業が出てくる。そうこうするうちに、日経平均などの平均株価も上昇に転じ、やがては本格的に株式市場も回復する――。 |
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今年の転職市場はどうなる? 景気のあおりで求人件数も大幅に減り、今年1年は厳しい見通しです。とはいうものの、店舗系サービス業や医療・介護系は、これまで思うように人材確保ができなかった分、ここぞとばかりに採用に力を入れるはず。また景況感に比較的影響されにくいIT系での管理部門、教育系には期待できます。また、景気が上向きかけたら、「人を減らしすぎた」とあわてて求人する企業も出てきますから、こまめに求人情報を収集してください。 「不況時の求人」、企業は何を求めている? もともと即戦力が期待される中途採用ですが、不況期は特にそれが強く求められます。入社したら早い段階で売り上げを伸ばせる、教えなくても何をしたらいいかを心得ているなど、募集要項に書かれている「求める人材像」の文章を熟読して、求人する側の意図を十分にくみとってください。また「未経験可」の求人なら、その背景を推測すること。斬新な企画力や、前例にとらわれない柔軟な発想力など、先方の期待するものが見えてくるはずです。この時期、「未経験ですが、御社で仕事をしながら勉強させていただけたらと思います」などという悠長な態度はタブー。例えばPCのスキル不足なら、「入社までにスクールに通って勉強します」というような熱意と積極的な態度を見せましょう。 「君こそ欲しい人材だ!」と印象づけるには? ホームページで経営方針や理念、取扱い商品や独自性を確認。社長のブログがあれば、状況や今後の展開を探るなど、応募先企業の情報集めから始めます。次に、求人情報から求められている人材像を分析。それをもとに、「入社したら具体的にどんな形で貢献できるか」を考えて、レジュメや面接でアピールしましょう。つまり企業の求める人物像と自分の持つ職務能力やパーソナリティがいかにマッチしているかをプレゼンテーションするわけです。また、面接で定番の「退職理由」を聞かれたら、たとえリストラで辞めたにせよ、簡潔に理由を述べた後、「いい転機だととらえ、御社だからこそ応募した」と入社にかけるひたむきな思いと熱意が伝わるように締めくくります。 |
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不況だからと委縮していたら、二度とないチャンスを逃すこともある。どうしても転職したければ、非常時ならではの綿密な戦略を立てて挑戦してみよう。 「どこかいいところがあれば」というような曖昧な転職理由は必ず態度や言葉ににじみ出て、「熱意に欠ける」と判断されてしまう。「3カ月で絶対決める!」というように、最初に目標を立てて本気で転職活動しよう。(谷所氏) 求人件数が減っている非常時に、「経理しかしてこなかったから次も経理」「自分には営業は無理」と頭からはねていくと、なかなかチャンスに巡り合えない。「自分はこうあるべき」という固定観念にとらわれずに探すと、案外、天職を見つけられることも。(谷所氏) レジュメを送るなり、転職フェアに行くなり、具体的に行動すればチャンスも増える。面接の場で求人とは違う職種の話が出て、素早く転職できた例もあった。(谷所氏) 大勢の候補者から抜きんでるには、自分らしいアピール方法を考えることも大切。例えば、面接時に「研修はどうなっていますか」と受け身で聞くより、「入社までに私にできることはありますか」と聞くほうが、面接担当者の好感度はずっと高くなる。(谷所氏) リストラで退職していたり、失業期間が長かったりすると、面接でもおどおどしがち。しかし、企業にしてみれば、不況期だからこそ元気に活躍してくれる人材が欲しいのだ。気持ちの整理をつけたうえで、「新しい職場で頑張りたい」と前向きに伝えよう。(谷所氏) 公募していなくても、「いい人材がいれば採用したい」と考える経営者は少なくない。どうしても入りたい企業があるなら、アプローチすれば門戸が開くことがある。(澤上氏) 意中の企業の社長あてに直接、入社したい理由と意欲を手紙にしたためて出すのも一つの手だ。1度出して梨のつぶてなら、2度3度出して熱意を伝えてみよう。(澤上氏) |
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