グローバル化、SNS普及、働き方の価値観変化…

2012年の「転職」「採用」は、こう変わる!

2011年は、企業のグローバル展開の加速、ソーシャルメディアの普及拡大など、ビジネスパーソンを取り巻く環境が大きく変化した年だった。続く2012年、企業の採用活動は、そしてビジネスパーソン転職活動方法は、どのような変化が予想されるのだろうか?識者の声をもとに、「2012年に予想される動き」をまとめてみた。

2011年12月28日

<ADVISER>

株式会社garbs<br>
代表取締役/大畑貴文氏

株式会社garbs
代表取締役/大畑貴文氏

企業や人材エージェント向けサービスの企画、Webアプリケーション開発に携わったのち、ソーシャルリクルーティング支援アプリケーションの企画・開発を手掛ける株式会社garbsを設立。採用におけるソーシャルメディア活用についてのコンサルティングも手掛ける。

株式会社ACROSEED<br>
代表取締役/佐野誠氏

株式会社ACROSEED
代表取締役/佐野誠氏

1998年行政書士法人佐野事務所、株式会社ACROSEED入社。2006年より代表取締役。国内企業に対する外国人雇用コンサルティングやビザ申請代行、雇用手続き、外資系企業の日本法人設立、許認可申請などを手掛ける。

株式会社ACROSEED<br>
特定社会保険労務士・行政書士/秋山周二氏

株式会社ACROSEED
特定社会保険労務士・行政書士/秋山周二氏

社会保険労務士法人ACROSEED代表社員。外国人雇用を「人事と労務」の両輪から捉え、「トータル人事・労務管理」の社内体制づくりを手掛ける。労務行政研究所などでセミナー講師を務め、現在、『東商新聞』にて「中小企業の外国人雇用」を連載中。

株式会社リクルート ワークス研究所 <br>
研究員/戸田淳仁氏

株式会社リクルート ワークス研究所 
研究員/戸田淳仁氏

2008年より現職。大卒求人倍率調査、雇用の現状などを担当。主な論文に「職種経験はどれだけ重要になっているのか」「有期雇用契約の雇止め無効リスクに関する分析」など。2020年の雇用環境を展望する「2020年予測プロジェクト」のプロジェクトリーダー。

株式会社リクルート<br>
『リクナビNEXT』編集長/黒田真行

株式会社リクルート
『リクナビNEXT』編集長/黒田真行

1988年リクルート入社。求人情報誌『B-ing』『とらばーゆ』『フロム・エー』各関西版編集長を経て、2006年4月より『リクナビNEXT』編集長。20年以上の間、転職・アルバイトなど求人メディアづくりに携わる。

【変化1】国内採用でも「ライバルは外国人」になる

日本企業の海外拠点で働きたいと考えた場合、現地の文化や商習慣を熟知している外国人が競争相手になるケースは多かった。しかし最近では、「日本企業の国内採用」においても、外国人がライバルとなる例が増えている。
国内企業の外国人雇用アドバイスやビザ申請、雇用手続きなどを手掛けるACROSEEDには、多くの企業から依頼が寄せられているという。
「特に大手企業からの案件が増えていますね。以前は『○○部門に1人外国人を採用したので、手続きをお願いしたい』という依頼だったのが、最近では職種や部門に限らず、まとまって5人10人と採用する企業が増えているため、就業規則や人事組織体系の段階から見直したいという相談も多いですね。大手の場合、もはや『外国人を採用する』という概念はなく、『優秀な人であれば国籍を問わない』というスタンスです」(佐野氏)
先日ワークス研究所が国内企業4673社に対して行った「ワークス採用見通し調査」では、従業員1000人以上の大企業の3社に1社は、留学生や外国籍学生の採用意向があるという結果が出た。「これは新卒採用の調査ですが、2012年は中途採用においても同様のニーズが増えると見られます。2012年に中途採用ニーズが増えるのは、流通業(前年比4.1ポイント増)、サービス・情報業(同6.4ポイント増)と見ていますが、この背景には、製造業だけでなくサービス業においてもグローバル化が浸透し、『アジア進出のための採用』が増えることが挙げられます。すなわち、現地でのオペレーションを担う人材として、外国人との競争になるケースが増えると見られます」(戸田氏)
背景にあるのは、グローバル化と日本の労働力低下。厚生労働省によると、20年後には日本の労働人口は今より1070万人も減少すると予想されている。
「大手を中心に『優秀な人材は国内だけでは賄えない』という認識が高まっており、国籍にこだわらない採用を行うようになっています。日本企業で働きたいという外国人は、非常に目的意識が高く、熱意のアピールも強いので、『優秀な人に仕事を任せたい』と考える企業が増えるのは当然の流れです」(秋山氏)
「ライバル」に打ち勝つには、どうすればいいのだろうか。
「語学力に加えて、文化の違う人とのコミュニケーション力が試されますね。自ら積極的に、異文化と関わって来た経験は評価されます。また、外国人に比べて日本人は、入社後に何を成し遂げたいのか、将来どうなりたいのかという目的意識が弱い人が多い。自身の将来を明確に描いておくことも、外国人に競り負けないためには重要です」(秋山氏)

【変化2】「中国以外」のアジア圏での採用が増える

国内企業が、成長著しいアジアに進出して利益を確保しようとする動きは、今後も続くと予想される。ただ、今までは中国の「人口約13億人」という巨大市場を取りに行く動きがメインだったが、徐々にほかのアジア各国に矛先が散らばりつつあるという。
実際、アジアで働く日本人の数は増加の一途で、中国以外の国での伸びも著しい。外務省発表の「海外在留邦人数調査統計」(2010年10月)によると、2位の中国のほか、7位のタイ、11位のシンガポール、12位の台湾、18位のマレーシアなどで前年比3〜6%の邦人数増ペースが続いている。
「経済成長により中国の人件費が高騰していることから、国内メーカー各社が生産拠点を別のアジア諸国に移管する動きがあります。目立つのは、ベトナムやインドネシア。インドを視野に入れている企業もあります。それに伴い、製造ラインの責任者や販売責任者など、現地を取り仕切る日本人の採用例も増えると見られます」(戸田氏)
ACROSEEDの取引先企業では、「アジア進出を目論み、ベトナムやマレーシア、タイ人を採用する例が増え始めている」といい、立ち上げ期を担うための日本人採用が幅広い職種でも増えると見られている。

【変化3】企業の採用活動のバリュエーションが増える

ソーシャルメディアの普及拡大により、SNSを使った採用活動「ソーシャルリクルーティング」という言葉が世に出始めた。ソーシャルリクルーティングサービスの企画、開発を手掛けるgarbsの大畑氏は「企業の人事で、ソーシャルリクルーティングを全く意識していない人はいないのでは。2011年は新卒採用での活動がメインだったが、2012年は中途採用にも広がるだろう」と見る。
「新卒採用の場合は、Facebookの企業ページで会社の紹介やイベントレポートなどを写真、動画とともにアップして学生の目を惹く例が多いですが、中途採用の場合は、業界特有のコアな裏話や専門的な仕事内容のレポートなど、採用ターゲットがより興味を持つような情報を継続的に発信することで、長期にわたってファンを増やしていくことが重要。そのため、企業がSNS上で発信する情報は、例えばブログやスライドシェアと連携させるなど、より内容が濃くリアルなものが増えていくと見られます」
一方で大畑氏は、「採用の際、応募者を選考するときに、人となりを見るためにFacebookやTwitterの個人ページを見るケースは確実に増える」とも言う。「発言内容やそれに対するコメントの多さ、友人(フォロワー)数、チェックしている情報源などは、その人そのものを表します。採用される側としては、仕事に対する考え方やスタンス、力を入れている趣味など、仕事とプライベートの情報をバランスよく発信することで、自分がどういう人物かをわかりやすい状態にしておくことが必要になるでしょう。とはいえ、あまりに意識して対策し過ぎるのは本末転倒ですが」

【変化4】「オファー型の求人」が増加する

2011年10月に、ビジネス特化型のSNS「LinkedIn」の日本語対応版のサービスがスタートした。Web上で仕事の実績と経験を公開することで、新たなビジネス上の交流が生まれることが期待されるサービスで、11月の月間訪問者数は早くも31万人に上り(ニールセン調査)、日本でも急速に認知され始めている。
リクナビNEXTにおいても、匿名レジュメを登録すると企業からオファーが届く「リクナビNEXTスカウト」のオファー件数が増加傾向にある。
求人ニーズに対して転職市場にいる人材が少なく、『企業側から働きかけないといい人材が確保できない』職種や業種で、スカウトを利用するケースが増えていますね。今ならITエンジニアや金融スペシャリストなどがそれに当てはまります。また、新規事業のメンバー募集など、事業戦略の詳細を明かしたくないために非公開で採用活動したいという企業も増えています」(リクナビNEXT黒田真行編集長)
一方、求職者の中には、Facebookの自身のプロフィールにおいてキャリアや実績をアピールし、ヘッドハントを狙う人も出始めているという。「企業側からのオファー型求人が増えていることの表れとも言えますね。転職チャンスを逃さないよう、複数の転職手段を活用して網を広げておくことをお勧めします」(黒田編集長)

【変化5】フリーランスや副業など「個人での働き」が増える

ソーシャルメディアの普及拡大により、「個人と個人」の結びつきが強くなったが、その中から「新しいビジネスの芽」が生まれやすくなっているという。
「例えばFacebook上でつながりのある人から『ちょっとこの仕事を手伝って』など個別で仕事を受発注し合うという例が増えています。特に、Web系のクリエイターやエンジニアなどが多いですね。そういう意味では、社員がフリーランスになったり、副業をしやすい環境になっていると言えます。実際、事務所スペースを共有しつつ独立した仕事を行う『コワーキング』という働き方が最近になって注目されており、コワーキングスペースを運営する企業も増えています」(黒田編集長)
仕事に限らず、個人と個人のつながりの中で、「新たな価値を生み出そう」とチームを組む例も出始めている。例えば、職能を活かしてボランティア活動を行う「プロボノ」活動が活発化し始めているが、SNS上での呼びかけで土日を使って活動するビジネスパーソンが増えているという。
「会社員といえども所属企業に縛られず、休みの日を使って個人で活動することで物理的、心理的対価を得るという流れは、今後さらに強まるでしょう」(黒田編集長)

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伊藤理子
PHOTO
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