消費財メーカー、通信業界、モバイル広告…

企業が評価する「マーケティング職のプロ基準」とは?

景気回復基調に合わせ、一時期は冷え込んでいたマーケティング職の採用ニーズも復活傾向にあるようです。実際には、どんな企業が、どんな経験を持った人を採用しているのでしょう?専門家に転職市場の動向を取材するとともに、実際にマーケティング職を採用している企業の採用担当者に、「欲しい人材の条件」を聞いてみました。

2010年10月13日

【マーケティング職の採用動向】
Web系企業やメーカーが「経験2〜3年の即戦力」を求めている

求人件数は年初比で2割増と堅調に推移

(株)リクルートエージェント 大山正氏

(株)リクルートエージェント 事務系ゼネラルカスタマー第一マーケット
キャリアアドバイザー/大山正氏

マーケティング職の採用数は、今年度以降、着実に増えています。今年1月と比較すると、この8月の求人数は2割増と堅調です。
中でも、SNSやエンターテインメント系の業績好調企業が、事業拡大を受けてWebマーケティング職の採用を積極化しています。データベースマーケティング経験が2〜3年はあり、Webマーケの即戦力として活躍できる人が求められています。マーケティング職は専門性が高く、ポテンシャル採用されるケースは稀。1〜2年程度の経験だと、経験値が低い、知見が少ないと判断されるようです。
また最近では、大手食品、化粧品、消費財メーカーなどの企画マーケティング職の求人も散見されるようになりました。業績好調企業が、一時期ストップしていた新規採用を復活させ、体制強化を図ろうという動きに出ています。ただ、採用のハードルはさらに高く、同業界出身であることは必須。できれば全く同じ商材を手掛けた経験が求められます。競合他社からの採用例も少なくありません。
なお、海外マーケティングに携わった経験のある人は、年数が短い場合でも、高く評価される傾向にあります。国内での需要拡大が期待しにくい中、どの業界においても海外市場に活路を見出そうとしており、今後さらに求められる経験になると見ています。

採用を積極化している3社に聞きました。
「当社がマーケティング職に求める“プロ基準”」

【通信機器メーカーの場合】「求めるのは、日本での事業拡大を担うマーケのプロ」
通信端末に関するニーズを分析してきた経験は必須です

ZTEジャパン株式会社 索東輝氏

ZTEジャパン株式会社
代表取締役社長
索東輝氏

当社は中国の通信機器メーカー「ZTE Corporation」の日本法人。約10年前より、次世代通信システムやデータ端末でグローバル展開を進めており、ここにきて新たに日本市場の開拓を積極化しています。
日本法人は2008年に立ち上げたばかりで、メンバー数は27人と少ないのですが、いずれもその道のプロばかりという少数精鋭組織。そのため、マーケティング担当者にも「プロとしての活躍」を求めています。すなわち、通信事業者などの法人顧客の要望を細かく分析して、その内容を本社研究開発部門にフィードバックし、新商品の提案につなげる…という、事業の成否を左右する「重責」を担っていただくことになります。
また、今後次世代端末のリリースが予定されているため、一般消費者に対するアプローチを積極化する予定です。そのため、マス向けのプロモーション企画全般も担当していただくことになるかもしれません。例えば消費者ニーズの調査・分析、それに合わせた店頭用パンフレットの製作や販促フォーラムへの参加、効果的な販促イベントの企画・運営などが考えられます。そのため、採用の条件はかなり厳しいですね。特に通信端末におけるマーケティング経験が3年以上あることが必須条件になります。総合電機メーカーの通信部門で商品企画または販促・PRなど、すぐに応用できる経験を持っている人が望ましいです。また、本社とのコミュニケーションが多いため、ビジネスレベルの英語か中国語、そして日本語の語学力が必須です。
当社はこれから、日本での事業展開をまさにスピードアップしようとしているところ。日本市場でのシェアアップおよび、ZTEブランドを確立していくマーケティングのプロフェッショナルとして、同部門の先頭に立ち、会社全体をけん引してくれる人に、活躍の場があります。

【化粧品メーカーの場合】職務経験は3年以上。
新製品のコンセプト作りから製品化まで一貫して関わった人を求めています

ピアス株式会社 芹原愛氏

ピアス株式会社
人事部 採用・育成グループ
芹原愛氏

「カバーマーク」や「ケサランパサラン」「デジャヴュ」ブランドなどの化粧品の開発・製造販売を手掛けています。当社では、より顧客満足度の高い製品開発につなげるために、短いスパンでの製品開発は行っておらず、時間をかけて徹底したマーケティングを行います。そのため当社のマーケティング職は、任される範囲が広いのが特徴。全くのゼロから顧客ニーズをリサーチして、膨大なデータを検証したうえで製品コンセプトを決め、研究開発や製造ラインと連携を取りつつ実際に製品化。そして市場に送り出すまでのすべてを担当します。
だからこそ、マーケティング職の中途採用の際は、即戦力となり得る人かどうかが採否のポイントになりますね。製品企画の実務経験はもちろん必須。化粧品、もしくはそれに近しい消費財などの企画経験が3年以上は欲しいですね。そして「製品開発における一部分」ではなく、企画立案から売り出すまで一貫して携わった経験のある人に来てほしい。マーケティング職は事業成否の鍵を握る「かなめ」の職種であり、高い分析力、論理構成力、説得力、企画力が求められますので、どうしてもハードルは高くなってしまいます。
なお、面接では、マーケティング知識などよりも、「製品開発に対してどういうスタンスで臨んでいるか」を確認します。たとえ経験してきた開発フローが当社のものと多少乖離していても、「消費者が本当に求めているものを提供するために、粘り強く最後まで取り組む」姿勢があれば、環境が変わっても早くキャッチアップできると考えます。実際、スタンスが評価され、食品業界出身者など異業界のマーケティング経験者も入社しています。

【モバイル広告代理店の場合】論理的思考力を持ち、主観と客観を
うまく使いこなせる人であれば経験がなくても門戸を開いています

アズアンドコー株式会社 川崎龍太氏

アズアンドコー株式会社
代表取締役社長
川崎龍太氏

当社はモバイル広告の代理店。キャリア広告サイトやECサイトなど、モバイル上でサイトを展開している顧客に対して、最適なプロモーション案を提案するモバイルマーケティングプランナーの採用を積極化しています。
当社では、実際に何人のカスタマーがサイトを利用したのかなど、詳細な広告効果測定が可能な自社システムを保有しています。新規顧客に対しては、そのシステムを活用して類似サイトの事例を数値化したうえで、顧客サイトを分析して問題点を導き出し、課題解決手法を考える…という一連の業務を、マーケティング職に任せています。
そのため、中途採用の際は、「論理的思考力を持っている人かどうか」を最も重視しますね。マーケティングの仕事は、主観と客観の両方をうまく使い分けながら現状を分析するスキルが必要。さまざまなデータから、サイト上での問題の本質は何かを「客観的に」分析し、それを元に「主観的に」自分なりの仮説を立てることが、効果的なプロモーションにつながり、顧客満足度を高めると考えています。このスキルを持っている人であれば、当社の場合は前職の経験は問いません。Webマーケティング経験のない人も、多数活躍しています。
論理的思考力の有無を図るために、面接では「今までに直面した困難」について聞き出すようにしています。困難の要因を主観で表現する人が多いのですが、「なぜそういう状況に陥ってしまったのか」を冷静に分析し、対応策を練ってきた経験のある人は、たとえ未経験であっても即戦力として活躍できると判断します。

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