海外市場シフト加速化の中で生き残るには?

営業職の市場価値を上げる「英語・財務・経営戦略」スキル

昨年来の景気の緩やかな回復に合わせ、営業職の採用ニーズも着実に増加している。とはいえ、リーマンショック前の水準には依然至っておらず、将来的には国内マーケットのシュリンクも指摘されており、営業職として生き残るには自らを高めていく努力が必要だ。それでは、どういうスキルが強みになるのだろうか?これからの営業職に必要な「武装スキル」を探ってみた。

2010年07月28日

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マーキュリッチ(株) 代表取締役/西野浩輝氏

マーキュリッチ(株) 代表取締役/西野浩輝氏
2003年にマーキュリッチ設立。プレゼンテーションや営業スキル、交渉力、マネジメントなどのテーマで企業研修・コンサルティングを行う。『5日で身に付く「伝える技術」』(東洋経済新報社)など著書多数。

(株)リクルートエージェント 事務系ゼネラルカスタマー第一マーケット キャリアアドバイザー/西山康鎮氏

(株)リクルートエージェント 事務系ゼネラルカスタマー第一マーケット
キャリアアドバイザー/西山康鎮氏

営業職や事業企画担当などを経て、2008年より現職。営業職の求職者へのキャリアアドバイス、および転職活動全般のサポートを担当。

TOEICスコアよりも【英語コミュニケーション力】を身につけよ

文法はさておき、「英語で臆せずどんどん意見を言う」ことが重要

「英語で臆せずどんどん意見を言う」ことが重要

高齢化社会の進行や人口の減少などで、国内経済の伸びが期待できない中、国内企業の視点は必然的に「海外」に移る。中でも成長著しい中国や東南アジア地区などの市場を取りに行く企業が増え、営業職も海外市場で戦わざるを得なくなるだろう。
欧米でなくアジア各国、BRICSでも、ビジネスにおいては基本的にすべて英語でのやり取りになるので、一番の武器になるのは「英語コミュニケーション力」。
TOEICの点数が高くても、コミュニケーションができなければ強みにはなりません。たとえ文法的には間違っていても、どんな場面でも言うべきことを臆せず言える度胸が重要。こちらの意思は十分に伝わりますし、何より『この人はデキそうだ』と思ってもらえます。海外でも活躍できそう、外国とのコミュニケーションが必要なポストも任せられそうだ…と、抜擢されるチャンスも広がるでしょう。商談相手の外国人にも目をかけられやすくなります」(西野氏)
現在はまだ海外展開していなくとも、近い将来、必要に迫られて進出を図る企業は多いはず。英語で商談できるレベルがあれば、そのときに真っ先に『私ならやれます』と手を挙げられる。ビジネスパーソンとしてのチャンスがぐんと広がります」(西山氏)

●「英語コミュニケーション力」の鍛え方
手っ取り早いのは、業界の専門用語を習得すること。自身の領域内のことを英語で理解できれば、それをつなげて十分話ができるし、相手の会話もわかるからだ。「同業界の海外企業や、海外に進出している日本企業の英語のホームページを読むのが効果的ですね。日本の新聞の海外版に目を通す習慣をつけるのも一つの方法。業界だけでなく経済用語全般の習得につながります」(西野氏)

【簿記3級レベルの財務会計知識】がビジネスの嗅覚を上げる

BS、PLを分析して商談の糸口を見つける

「ヘッドハントされるぐらいのトップ営業は、たいてい高い財務知識を持ち合わせている」(西山氏)という。企業にアプローチする際、事前に貸借対照表(BL)、損益計算表(PS)を分析して企業の現状を理解し、商談の切り口にしているのだ。
「ある程度財務諸表が理解できれば、営業としての『鼻』が利くようになります。例えば、○○部門の利益率がここ数年で下がっているから、うちの××システムを導入すれば○%の収益改善につながるとアピールできるな…などと商談につながる発想ができます。具体的で現実的な数値目標を示すことは、特にTOPアプローチの場面では必要不可欠。営業としてより多くの場数が踏めるようになり、営業スキル自体の底上げにもつながるでしょう」(西山氏)

●「財務会計知識」の鍛え方
一定規模以上の企業は、ディスクロージャーの一環として自社ホームページにBL、PSなどの財務諸表を載せている。数年分の財務諸表を比較して、利益率やキャッシュフローの推移などをチェックし、自分なりに分析してみること。上場企業が決算ごとに出している「決算短信」を見れば、前年との比較分析や今期の見通しなどがまとめられているので、より理解しやすい。「財務知識といっても、簿記3級レベルの基礎的知識があれば十分。3級の参考書に目を通すのもお勧めです」(西山氏)。

【経営戦略を企てる力】を磨いて経営の中枢に近づく

顧客接点、営業視点を活かして「新商品・サービス」の提案を

営業現場にいながら経営戦略力を身につけよう

営業経験をベースに「経営企画」「事業企画」といった、より経営の中枢に近い職種を目指すという方向もある。普段から顧客ニーズに触れている営業だからこそ、今のマーケットニーズと自社戦略の「ズレ」、自社商品・サービスラインナップの「抜け」に気づくことができるはず。営業として日々感じている「もっとこうしたらいいのに」をそのままにするのではなく、実際に改善する側に立って方法を考え、戦略を立ててみる習慣をつけよう。そうすれば、ビジネスを生み出す際の手順を身につけることができる。

●「経営戦略を企てる力」の鍛え方
「営業職が、いきなり新規事業の立ち上げなどに関わるのはなかなか難しいかもしれません。しかし、例えば顧客の要望を元に新商品や新サービスを提案してみる、などだったらできるのでは?もし実現に動けば、他部署を巻き込んでの全社的なプロジェクトになります。たとえ商品化は実現しなくても、この経験は貴重であり、企画職に移るための大きな強みになります」(西山氏)
経営への提言やアイディアの募集、新プロジェクトメンバーの募集など、社内公募には積極的に手を挙げ、社内で自身をアピールしていく姿勢が大切だ。

ベースとなるのはあくまで「高い営業スキル」。
営業の基本を磨き直して【稼げる力】を高めるのも生き残りの方法

「これからの営業には、複数の得意領域を持つことが求められます。その『複数』に当たるのが、英語や財務知識といったプラスアルファのスキル。ただ、ベースとなるのはあくまで『営業スキル』。ベースを鍛えていく努力は今後も必要不可欠です」(西野氏)
今後を生き抜くうえで、グローバル時代を生き残るための差別化スキルは当然大切だが、営業力自体の底上げを図る努力は何より大切なのだ。
「一時期多くの企業で見られた『営業の大量採用』はすっかり影を潜め、厳選採用が主体となっています。そのため、評価されるのは、1人で営業の1から10までやれる人。すなわち新規アタック先のリストアップからアプローチ、商談、課題解決、クロージングまですべてをこなせる営業のプロです」(西山氏)

グローバル展開に当たっては、「アピール力」や「ストレス耐性」など、営業としての基礎的スキルを鍛える努力も重要だ。
「日本人は、オーバーなアピールは苦手とする人が多いですが、海外においてはある程度のはったりも必要。自社の商品を使ってもらう前に、まず『よさそうだ』と思ってもらうことが大切なのです。また、外国人ならではのズバズバと核心を突くコミュニケーションを受け止めきれず、傷つき落ち込むのも日本人ならでは。海外との商談では常識が通じないことも多いし、想定外の事件も多い。いちいちそれにめげないことも意外に重要です」(西野氏)

営業力を鍛え続けるには、「成功体験の積み重ね」が一番の方法。商談の大小は関係なく、逆に大型案件から小口受注までさまざまなバリエーションの商談を経験することが重要だ。
「その都度、商談内容を振り返って改善ポイントをブラッシュアップする努力を続ければ、営業の各工程が洗練され、営業スキル全体の底上げにつながります。また、受注のバリエーションが増えれば、営業としての引き出しが増え、困難に直面した時の打ち手も増えるでしょう」(西山氏)

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渡辺聖爾
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