価値観のズレは、金銭感覚から生まれる?!

28歳 VS 38歳、「お金」にまつわる世代間ギャップ大調査

20代の部下の行動が理解できない!30代後半の上司の言っていることがわからない…。最近、ビジネスパーソンの間でそんな声が増えている。ものごころついたときから不景気しか知らない20代と、バブル時代の盛衰を知っている30代後半とは、「世代間ギャップ」があって当たり前。特に、「お金」に関しては、価値観の違いがあるはずだ。お互いを理解するために、リクナビNEXTでは、28歳と38歳のビジネスパーソンに対し、「お金事情」や「お金に対する価値観」についてのアンケートを実施した。それぞれの年代を、比較しながら見ていこう。

2012年1月11日

28歳と38歳のビジネスパーソン200人に緊急アンケート

調査方法:インターネット上で実施(調査協力:メディアパーク)
実施期間:2011年12月28日(水)〜2012年1月5日(木)
調査対象:首都圏在住の28歳、38歳のビジネスパーソン
調査人数:28歳100人(男性70人、女性30人)、38歳100人(男性70人、女性30人)

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百年コンサルティング株式会社<br>
代表取締役 鈴木貴博氏

百年コンサルティング株式会社
代表取締役 鈴木貴博氏

東京大学工学部物理工学科卒業後、ボストンコンサルティンググループに入社。分析力と洞察力を武器に企業間の複雑な競争原理を研究し、伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループの起業に参画後、2003年に独立、百年コンサルティングを創業。以来、大企業を中心にアドバイザーとして活躍。著書に『会社のデスノート』『ワンピース世代の反乱、ガンダム世代の憂鬱』(ともに朝日新聞出版)、『アマゾンのロングテールは、二度笑う』(講談社)ほか。

「28歳」と「38歳」は、どういう世代なのだろうか?

28歳と38歳 お金事情と価値観のリアルアンケート

28歳の年収は300万円台〜400万円台が多く、38歳は500万円台が最多

現在年収を見ると、28歳は300万円台、400万円台が多く、38歳は500万円台が最多となっている。中央値を見ると28歳が300万円台、38歳が500万円台。この数字から、「不景気のしわ寄せが20代にきているのでは」と鈴木氏は見る。
「38歳はわりと年収のレンジが広く、1000万円を超えている人も9%ほどいます。しかし20代は全体的に低め。4分の1が300万円未満ということを考えても、『平均年収300万円の時代』は本当に来ているのかもしれません」(鈴木氏)
一方、貯蓄額を見てみると、20代が意外と貯めていることがわかる。最多は300万円〜500万円未満だが、それ以上の人が37%。
「年収の低い20代はなかなか貯められないというのが一般的なのですが、ものごころついたころから不景気しか知らない今の20代は、将来への不安もあって早いうちから貯蓄しておこうという気持ちが強いのかもしれません。一方、38歳はもう少し貯蓄があっていいような気もしますが、もしかしたら住宅の頭金など高額商品購入時に取り崩してしまった人が多いのかもしれませんね」(鈴木氏)

交際費は38歳の半分以上が「1万円未満」という結果に

「食費の中央値を見ると、28歳は3万円台で38歳が2万円台。38歳は、結婚して妻や子どもの分も食費として換算されている可能性があるにもかかわらず2万円台とは、かなり少額です。やはり、38歳は食費に対してあまりお金をかけられないということがわかります」(鈴木氏)
鈴木氏によると、最近の20代の特徴の一つが「仲間との交際費にはお金を惜しまないこと」があげられるという。実際に交際費に関するアンケートでも28歳が1万円未満が41%であるのに比べ、38歳は1万円未満が52%と、28歳は食費と交際費のどちらを見ても、28歳は意外とお金を使っていることがわかる。
「『携帯代も交際費』と考えるのが、28歳世代の特徴です。食事代にしても交際費の一環で、単純にコンビニ弁当をよく買っているというよりは、交際もかねて仲間と食事に出掛けるという使い方が多いのではないでしょうか。逆に38歳は1万円未満と答えた人が52%もいますが、その世代は『人脈形成のために交際費を使う』という考え方があまりなく、子育てなどの事情から全体的に節約しなくてはならない状況の中、『削るなら交際費』という結果になったのかもしれません」(鈴木氏) 

28歳は半数近くが賃貸派。38歳は持ち家派多数で購入者も多い

「持ち家派」と回答したのが、28歳は55%、38歳が66%という結果に。その内訳を見ると、すでに家を購入済みの持ち家派という人が38歳は43%。一方で28歳は大半がまだ購入にいたっておらず、実際は86%の人が賃貸住まいということがわかった。
「38歳はまだ『持ち家信仰』が多い年代。一方で28歳の45%が賃貸派でいいということは、今の景気状況を踏まえて、割り切った考えを持っている人が多いということでしょう(鈴木氏)」
家賃額の内訳は、中間値が5万円台の28歳に対して、38歳は7万円台。しかも、10万円以上の家賃を払っている人が28歳の7%に比べ、38歳は28%と多くなっている。

ともに6割以上が投資はせず。28歳は自己投資にはお金を使っている

28歳、38歳ともに6割の人が投資にお金を使っていないという結果に。
「この数字には正直びっくりしました。これは、もしかしたら現在の経済状況によるものかもしれません。投資に回すよりも、現金で貯めておくほうが堅実だという世相が表れている可能性があります。各世代とも、投資に対しては『約8割の消極派、約2割の積極派』という分布になっていますね」(鈴木氏)
一方でビジネスでの自己投資については、はっきりと世代で差が出る結果に。38歳の6割がお金を全くかけていないことがわかった。全体の9割弱が1万円未満という結果に。逆に28歳は0円が47%いるものの、『半分以上の人は使っている』という結果に。
「年齢で考えても、20代、30代ともに自分への自己投資は絶対に必要な年代です。38歳のこの結果からは、『来るべき40代をすでにあきらめてしまっているのではないか?』とも思えてしまいます。逆に28歳は少ないながらもメリハリをつけて自己投資にあてているようです。堅実ともいえますし、きちんとお金がかけられている人たちが、30代を過ぎて勝ち組になれるということが言えるかもしれませんね」(鈴木氏)

ともに7割が趣味に2万円未満。

服装にかけるお金は、28歳・38歳ともに中央値は5000円台。いずれも8割以上の人が2万円未満という結果がわかった。
「デフレが進んでいますね。バブル世代からは考えられない額ですが、世相を最も表しているといえそうです。ただ、世代の特徴としては、28歳はお金をかけない中でも、使うところと安く抑えるところのメリハリをつける傾向があります。限られた予算の中で、工夫しながらある程度高いものは買っている可能性があります。逆に38歳は『単純に節約』という側面が大きいかもしれません」(鈴木氏)
趣味に使うお金は、どちらの世代でもあまり差は見られない。約7割が2万円未満という結果に。10万円以上使う人は28歳では2%はいるものの、38歳では一人もいない。
「どちらもあまりお金を使ってはいませんが、これまでの集計結果から見ても、28歳は自分にはあまりお金を使わない一方で、交際費には使っている。しかし38歳はといえば、何に対してもあまりお金が使っていない。つまり、38歳は『節約』がキーワードになっているといえそうです」(鈴木氏)

100万円あったら「貯蓄」したい38歳。28歳は「投資」に興味あり

100万円が自由に使える…。夢のような話だが、28歳、38歳ともに「貯蓄する」が最多。どちらも「貯蓄」と「投資」を合わせると半数という結果だが、内訳が少し違う。
「28歳は投資をしたい人が38歳に比べると多いようですね。逆に38歳は貯蓄が41%で、投資が10%ということで、やはり貯蓄が一番安心という考え方でしょうか。興味深かったのは、38歳で『ビジネスに関する自己投資に使う』『自分磨きに使う』と答えた人が、わずかですが6%いたことです。これまで、自分のためにはお金を使わない世代だということが見えてきた一方で、『お金があれば自分のために使いたい』という人もいるんだと、少し安心しました」(鈴木氏)

28歳の8割、38歳は9割が金銭面で将来に不安を感じている

28歳の8割、38歳の9割が金銭的に将来に対して不安を感じている。
「今の世の中の状況で、将来に不安を感じない人は少ないかもしれませんね。興味深い点は、『両親の老後の支援資金』が28歳に比べ、38歳のほうが多いこと。この結果は、『現在の年収に対する不安』と関係が深そうです。つまり、現在の収入が少ないために、『両親の老後の支援資金』にまつわる不安は、28歳のほうが多く感じているのでしょう、また、年金がもらえなさそうだと予測する人が20代に多いために、現在の収入の少なさが余計に気になるともいえます」(鈴木氏)

「資格取得」「副業」に走る28歳。38歳は「保険」「住宅購入」で不安解消

28歳、38歳ともに「現金で貯蓄」が最多。次いで多いのが「株や債券、FX、投資信託などを購入」。
「資産形成をきちんとしないといけないと考えて、将来に向けて株や投資信託などを購入している人が多いようですね。ただ、昨今の不景気で株や投資信託で損をした人も増えているでしょうから、やはり現金での貯蓄が最も安心だと考える人が多いということでしょう」(鈴木氏)
一方、28歳に多いのが「資格取得をしている」人。
「背景には、雇用不安があるのかも知れません。特に20代のうちは、資格があれば転職に有利と考える人が多いのでしょう。それだけ、自分自身のキャリアに真剣に向き合っている人が増えているともいえるかもしれませんね。一方で、持ち家比率が高い38歳は、自宅購入そのものが不安解消になっているようです。『保険商品の購入』と合わせても、28歳とは価値観の違いがはっきりしていて興味深いところですね」(鈴木氏)
その他、「副業している」という人が、どちらの年齢も多かったのも、時代を反映していると言えるかもしれない。

10年後は年収を約200万円アップしていたい28歳

28歳に、「10年後の年収はどうなっていると思うか」と聞いたのが一つ目の表。中間値が500万円台ということで、「現在の年収からは200万円近くは上がっていたい」と考える人が多いという結果に。
一方、38歳には10年前の年収額を聞いてみた。すると、現在の28歳の年収に比べて約100万円ほど高いことがわかった(中間値は400万円台)。
「このデータから言えるのは2つです。まず、今の28歳と、38歳の人の10年前を比べた時に、やはり今の28歳は給与が低すぎるということ。そして、現在の38歳は、この10年間でそれほど給与が上がってはいないということです。不景気といわれる時期が長く続いているため、しょうがないことなのかもしれませんが、あまり夢を感じられる結果にはなっていませんね。しかし、10年後の年収について、12%の人が『1000万円以上』と答えたことは、20代のなかにも明るい将来を信じている人が少なからずいるということでしょうか」(鈴木氏)
あるべき10年後の姿をイメージし、そこに向かって努力できるかどうか。それが、年収の面でも、スキルアップの面でも、10年後に大きな差となって表れるのかもしれない。

10年前の自分へのアドバイスは「貯蓄」「自己投資」「勉強」が多い

38歳にだけ行った質問。「10年前の自分自身に対してのアドバイス」として、多かったのは「貯蓄しておいたほうがいい」「自己投資をもっとしておいたほうがいい」の2つ。次いで、「投資を学んでおいたほうがいい」「いろいろと勉強しておいたほうがいい」が続いた。
「いずれにしても、アドバイスを通じて、『今の自分への後悔』が見てとれますね。これまでの集計結果でも多かったように、やはり金銭的な部分に不安が多い年齢ですから、『貯めておけばよかった』というのは切実な心の叫びでしょう。意外に少ないのが、『英語』に対する回答。もちろん答えている人は10人程はいるのですが、昨今の英語への意識の高まりに比べると少ないように感じました。現在、英語を必要とする仕事に就いてない人が多いため、危機感が薄いのかもしれませんが」(鈴木氏)

今の28歳には「貯蓄」「自己投資」を勧める声が多い

10年前の自分へのアドバイスと同じように、「貯蓄をしておいたほうがいい」「自己投資は惜しまないほうがいい」という意見が多数。
「自己投資の中でも、『資格取得』へのアドバイスが多いですね。『投資の知識を身につけておいたほうがいい』という意見も。意外なところでは、『自宅は早いうちに購入したほうがいい』という意見が目立ちます。家に対する価値観に世代間ギャップがあるからこそ、あえてアドバイスしているのかもしれません」(鈴木氏)
「20代のうちに転職を経験しておいたほうがいい」「専門的な知識を身につけておいたほうがいい」という意見も見られた。その他、「もっと将来を真剣に考えたほうがよい」(男性/配偶者・子どもあり)、「海外に目を向けてほしい」(男性/配偶者・子どもあり)、「体力をつけておいたほうがよい」(男性/配偶者・子どもあり)という意見もあった。

28歳、38歳ともに「今のお金の使い方」が将来を左右する

今回は、28歳と38歳に絞って、お金にまつわるアンケート調査を行ったが、特に大きな違いが見られたのが「自己投資」に対する部分。育ってきた環境や現在の生活環境、価値観などさまざまな要因があるとはいえ、「節約」を強いられている38歳は、自己投資に対しても消極的にならざるをえないようだ。一方、半数が「ビジネスにおける自己投資」に積極的だったのが28歳。「10年後を考えた時に、今、自己投資にお金をかけられる人と、そうでない人には、決定的な差がつくはず」と鈴木氏がいうように、働き盛りの28歳、38歳ともに、今のお金の使い方が「今後のキャリア形成」や「将来の可能性」を大きく左右する。合計200人の調査結果を参考にしながら、いま一度、自らのお金の使い方について考えるきっかけにしてみてはどうだろう。

目標設定や自己啓発にもつながる
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EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
志村 江

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